歯内療法 | 根管治療 秋田 小笠原歯科医院

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歯内療法とは

一言で言うと「あなたご自身の歯を救う」治療です。

むし歯になる、すなわち歯がばい菌に感染し、穴が空いてしまうと、そこはもう元には戻りません。そうなってしまった歯は、歯医者によって人工物により、歯の形に回復され、見た目や機能を回復できます。

しかし、むし歯がの感染がひどくなってしまった。つまり深いむし歯が出来て、それが神経・血管(歯髄と呼んでいます)に達してしまった場合、歯髄は炎症を起こして、さらに最近が根の先まで進むと、根の先の組織が炎症を起こします。そんな歯を救うには、歯の中に侵入した細菌を追い出す必要があります。

歯の中に侵入した細菌を様々な方法を駆使して追い出し、ダメージを負った歯を再びよみがえらせるのが歯内療法であり、我々、歯内療法を専門とする歯科医師は「歯を救うスペシャリスト」です。


「痛い」「腫れた」は細菌が原因!

歯が痛い・歯ぐきが腫れたなどの症状は、歯科医院を受診する理由・主訴の多くを占めるものであり、この症状に苦しめられた経験のある方も少なくないと思います。さらに、一度その歯を治療したにもかかわらず、何ヶ月か後、何年か後に症状の再発を経験してしまうことも少なくありません。

では、この症状はなぜ起こるのでしょうか? それは「細菌感染」が原因です。人間の体の中には一部を除き、細菌が存在しない無菌状態が保たれており、歯の中の歯髄腔も同様に、健康な状態であれば細菌は存在しません。しかしながら、むし歯になり、むし歯の穴が大きく深く進行してしまうと、無菌であるはずの歯髄腔の中に細菌が侵入し住みかを作り、悪さをしてしまいます(この状態を感染といいます)

この、歯髄腔の中に細菌が感染し、歯が痛い・歯ぐきが腫れたなどの症状をだす病気を、歯髄炎、根尖性歯周炎と呼んでおります。

歯髄炎や根尖性歯周炎は、昔の研究から上記のように細菌感染が原因であると証明されており(1)、いかに細菌感染を取り除くか、また、いかに細菌感染をさせないかが重要であり、これをターゲットに治療が行われます。

(1) Kakehashi S, Stanley HR, Fitzgerald RJ. The Effects of Surgical
Exposures of Dental Pulps in Germ-Free and Conventional Laboratory Rats.
Oral surgery, oral medicine, and oral pathology 1965;20:340-349.


日本人の歯は細菌に苦しめられている?

ある国立大学病院の歯科病院を受診した患者さんのレントゲン写真を、期間を決めて収集し、そのレントゲン写真から根尖性歯周炎が疑われる歯があると判断できる人の割合を調べた研究が発表されました(2)

分析の結果、実に、半分近くの人の歯が、根尖性歯周炎に罹っている疑いがあるという結果でした。

また、ある一定期間に、全国で行われた歯内療法のうち「抜髄」と呼ばれる、細菌が感染した歯の神経を取り除く治療と、「抜髄」が行われた歯に再度細菌が感染してしまったため、再度の治療を行う「感染根管治療」の数を比較すると、驚くことに、一度目の治療である「抜髄」よりも、「抜髄」の失敗による再治療である「感染根管治療」が多いとのデータが示されました。

日本で、様々な治療が提供されていますが、これほど再治療の多い病気は多くないのではと思います。

このように日本人の歯は、その治療の結果より、非常に過酷な状況に置かれていると考えられます。

なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか?

その原因は決して「日本人の歯が弱い」とか「日本人の口の中が汚い」と言うわけではありません。

原因の一つに、日本の医療制度があると考えられます。 皆様の多くが恩恵を受ける政府管掌保険や国民健康保険(後期高齢者保険を含む)で定められた診療報酬制度では、感染した歯髄に対する「抜髄」やそれの失敗による再治療である「感染根管治療」への評価が、世界でも最低レベルであり、日本の多くの歯科医師は、その評価の下で頑張って歯の神経の治療を行っています。 この環境によって提供される治療は、次の2つの状況が考えられます。

  • 1. 歯科医師が国民のため赤字覚悟で良質な歯内療法を提供する
  • 2. 治療に見合った報酬を受け取れないため「安かろう悪かろう」の治療を提供する

私たちの良心として、日本のすべての歯科医師が1.と考えていて欲しいのですが、残念ながら実情は2。と言わざるを得ません。

とくに健康保険での診療報酬では、歯の痛みの原因の第1位である細菌について、治療中の再感染の防止に対する評価(ラバーダムなど)がまったくなされていなく、根尖性歯周炎の再発を防止できていないのが現状です。

そういうことからも、日本人の歯は「細菌」に苦しめられているといっても過言ではありません。

(2)須田英明. わが国における歯内療法の現状と課題. 日歯内療法誌 2011;32(1):1-10.


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